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財政委員会質疑 土地信託案件について

2015-06-30

shiba7

議案として提出されているコスモス青山の土地信託について伺う。
都は、昭和62年に初めて土地信託制度を取り入れ、信託銀行を受託者として、これまで5つの事業を実施してきた。
土地信託は土地の売買を伴わないため、当時、社会問題になっていた地価高騰を顕在化させることなく都有地の有効活用が図れた。そして、信託終了後には土地・建物が都に戻ってくるという利点がある。
既に、新宿モノリス、両国シティコア、大久保病院のあるハイジアの3つについては、それぞれ20年間の信託期間が終了し、5年間の延長を行っている。
そして、今年の9月に、コスモス青山が信託期間満了を迎える。

Q1 検証総括の結果について
もちろんコスモス青山の信託事業についても、これまで同様しっかりと検証総括した上で、5年間の信託延長という結論になったと思う。そこで、検証総括の仕方も含め、その内容について伺う。
A1(利活用調整担当部長答弁)
検証総括については、不動産鑑定士、弁護士、市場調査会社、建築士などの専門家の意見を聞きながら、実施した。
(柴崎幹男)
専門家から一定の評価をうけているように、借入金責務を残すこと無く都はこれまで堅実な事業運営に努めてきた。当初の計画どおりに運ばなかった点もあると思う。そこで信託配当の実施についてですが、
Q2 信託配当の実施について
この信託配当は、当初予定した配当と実績が大きく乖離しているようである。その要因について伺う。
A2(利活用調整担当部長答弁)
信託配当については、当初の予定配当は約1,450億円となっている。
バブル経済の崩壊により、土地価格に連動して収入源であるテナントの賃料収入が予想より大幅に下落したことが最大の要員となり、これまでの配当の合計は約4億円となったものである。
(柴崎幹男)
今の答弁からもバブル経済の崩壊が日本経済に与えた影響は計り知れない。予想配当と実績との乖離の大きさがそのことを如実に物語っているわけである。
Q3 土地信託の状況の改善策について
こうした予想に反した困難な環境を乗り切るために、都はどのような対応を行ってきたのかと聞かせていただきたい。
A3(利活用調整担当部長答弁)
テナント賃料収入を確保するため、受託銀行が知識、経験を活用し、テナント誘致や賃料交渉等を鋭意実施してきた。
借入金の金利については、当初は固定金利4.9%であったが、その後の市場金利の急激な低下を踏まえ、受託銀行との協議を経て金利の引下げを行い、実勢に基づく金利になっている。
(柴崎幹男)
借入金については、約定に基づき利子を支払うことは当然のことであるが、銀行と協議して金利の引下げも行ったことは、評価できる。
今回の5年間の信託期間延長という判断は、延長以外の様々な具体策についても検討した上でのことだと思う。
Q4 具体策の検討について
そこで具体策の検討内容について伺う。
A4(利活用調整担当部長答弁)
都が直接土地・建物を所有することを検討した
当該土地は都心の一等地にある極めて貴重な都有地であり、直ちに売却することは適切でないと判断した
土地信託を延長した場合、引き続き健全な資産運用が可能であり、また不動産市況等にも柔軟に対応できることから、5年間の延長することが適切と判断したものである。
(柴崎幹男)
これからは、建設した建物が築20年経ち、経年劣化への対応が問題となる。
これまでの借入金返済を重視した信託運営から、大規模修繕を実施しながら収益確保を図る運営に軸足を移さなければならないと考える。
この認識が不足すると、建物の劣化がテナントへのサービス低下につながる。結果的には、優良テナントが他のビルへ移転してしまい、収益悪化を招く。そして、5年後の選択の幅を狭めることになる。

Q5 今後の信託運営と出口策について
これからの5年間は、資産価値を維持し、収益確保に努めなければならない。併せて、信託の出口策をしっかり検討するべきだと思うが、所見を求めます。
A5(利活用調整担当部長答弁)
資産価値の毀損を防ぎ、健全な信託運営に不可欠であるため、既に策定した大規模修繕計画を確実に実施することにより、利便性を高め、テナントの確保につなげていく。
(柴崎幹男)
バブル経済の崩壊により、都心の一等地にあるコスモス青山であっても、厳しい運営状況であったことがよくわかった。
そのような状況においても、受託銀行、管理会社を含め、関係者の努力によって、借入金を完済するなど健全な形で信託事業を運営し、その上で今回、信託期間の5年延長の考え方が示された。
これまでの説明を聞き、5年の延長という都の判断は十分理解できた。従って、しっかりと取り組んでいただきたいと改めて申す。
そして、都が初めて土地信託をスタートさせた新宿モノリスが竣工してから約25年が経過した。
この間、都は土地信託の受託者として事業の舵取りに苦労してきたと思うが、5つの信託事業それぞれについて、経済状況等に応じ、適切に対応し、今日に至っているわけである。

Q6 土地信託事業の今後の方向性について
そこで、土地信託事業の今後の方向性について、長谷川局長の見解を伺い、質問を終了とさせていただく
A6(局長答弁)
5つの信託事業いずれについても、建物、設備は適宣修繕を実施して良好であり、借入金についてはコスモス青山が今月末に完済を予定し、他の4信託は既に完済している。
今後の土地信託事業については、安定したキャッシュフローを享受しながら、一層堅実な運営に努めていく。

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