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舛添前知事の海外出張と公用車公私混同について

2016-10-06

舛添前知事の海外出張と公用車公私混同について

 

それでは、質問を行います。
 舛添前知事の海外出張及び公用車の使用は、大変、大きな問題となりました。都議会自民党は、都市外交に余りに偏った前知事の都政運営、そのバランスの悪さについて、就任間もなくから苦言を呈してまいりました。これに耳を傾けないばかりでなく、さらには、公用車の使用を含め、公私混同甚だしいという前知事の態度は、最終的に辞職という結果を招きました。しかし、知事の辞職だけで全てが解決というわけには、まいりません。我々は、この問題を検証することで、再びこのようなことが起こらぬようにしなければなりません。そして、それこそが都民の信頼回復に繋がり、さらには、これからの都政の前向きな発展に繋がるものです。
 

 今回の事態は、東京都に対する都民の信頼を大きく損ないました。都庁として関与し得ない、舛添前知事本人の政治資金に関する問題はともかく、海外出張や公用車の使用については、都庁組織としても反省すべき点があったのではないでしょうか。
 

 まず、海外出張です。舛添都政の2年4か月の間、海外出張は9回に及び、また、出張経費についても大きな批判を呼びました。たとえ海外出張の成果が都民生活の向上に資する部分があったとしても、都政に様々な課題が山積する中にあって、都知事が頻繁に海外に足を運ぶ理由にはなりません。経費についても、「最小の経費で最大の効果をあげる」、これは行政に携わるものが決して忘れてはならない、行政運営の根本方針であります。
 

 前知事のように「香港のトップが安いホテルに泊まるのか」といった発言が出てくるようでは、話になりません。同時に、こうした知事の意向を受けながらではあったにしても、都庁の職員にも、出張用務を円滑にこなしていくことを過度に重視し、「とにかくミスがないように、とにかくトラブルがないように」という意識があったのではないかと思います。随行職員の人数の多さも、これを裏付けているように思います。こうしたスタンスは、経費の膨張にも繋がります。真摯に反省すべきであります。
 

 さて、小池知事は就任以来、二度のリオ出張を実施いたしました。オリンピック・パラリンピック大会の次回開催都市として、フラッグを受け取りにいくことには、大きな意義があります。さらに、リオ大会は、2020年大会に向けて、現場を肌で感じる最後の機会でもあります。大会成功のため、知事には、現場をしっかり視察いただく必要があったと考えます。その成果については、また、別の機会に伺うことといたします。

Q1
本日は、まず最初に、舛添前知事の出張経費の問題を踏まえ、都としてどのように対応していくのか、小池知事の二度の海外出張の実績を含めて、確認しておきたいと思います。
A1(外務部長答弁)
○ 都庁内では、4月に「海外出張経費検討会」を立ち上げ、見直しを検討してきた。この検討内容も活かしながら、小池知事の指示の下、二度のリオ出張では、随行人数の削減、航空費・宿泊費をはじめ移動車両・通訳・現地案内人といった各種経費の見直しなどの改善工夫により、出張経費を抑える取組を進めた
○ また、出張経費は、小池知事が記者会見などを通じて、出張費や精算前でも、随時、概算額を公表するなど、情報公開の観点からも、見直しを図っている。
○ 今後は都政改革本部の「内部統制プロジェクトチーム」においても議論を行い、適正に対処してまいりたい。
○ なお、リオ現地においては、オリンピック・パラリンピック準備局の職員が出張中であったこと、ホテルや車両の提供を受けたことなどにより、より一層の人数・経費の削減が可能になったものと考えている。
(柴崎幹男)
 都が経費の縮減を図っていることは、分かりました。ただ、我々は、単に経費を縮減すればいい、と言っているわけではありません。行くからには、それに見合った成果が必要です。このことを肝に銘じつつ、経費縮減が新知事就任当初の一時的なものとならないよう、引き続き、適切に運用していって欲しいと思います。
 

 もう一つ、海外出張には留意すべき点があります。それは、知事が東京・日本を長期にわたって離れることになる点であります。たとえ、組織として万全の体制を構築していたとしても、東京が危機に陥ったときに知事が不在では、都民の不安、都民の不満はいかばかりでしょう。現に、舛添前知事が4月、アメリカに出張している時、熊本地震が日本列島を襲っております。
 

 私は、震度7級の地震が立て続けに発生する未曾有の事態にあって、舛添前知事が出張日程を続行し、ワシントンで赤いオープンカーのパレードに参加している姿を見たとき、愕然といたしました。現場の危機を共感できない姿は、リーダーシップではなく、他人事感を演出するだけであります。東京とワシントンの友好への期待感ではなく、東京に対する国内の不快感を煽るだけであります。
 

 毎週、湯河原に通っていた事実からも、首都東京を守るという重責を担うには、危機管理意識が希薄すぎたと言わざるを得ません。

Q2
そして、東京を離れるという点では、海外出張においても、日数を極力、短期間に抑えることが重要だと考えます。先日のリオ出張は、かなりタイトなスケジュールであったとも聞いていますが、この点に関して、都は現在、どのように考えているのか、伺います。
A2(外務部長答弁)
○小池知事の二度のリオ出張は、極めて遠隔地への出張であったが、3泊7日という、いわば強行スケジュールで実施したとこである。
○同時に、限られた日程の中でも、フラッグハンドオーバーセレモニーをはじめ、記者会見やIOC委員との面談、レセプションなど、知事が出発してこそ意味のある日程を盛り込み、中身の濃い出張内容とした。
○オリンピック・パラリンピックの開催も控えており、今後も、知事の出張が不可欠なものが発生する。そうした中で、必要な用務をこなしながら、一方で、ご指摘にあった知事の不在期間を極力、短くするという観点も踏まえ、スケジュールを十分に精査していきたい。
(柴崎幹男)
 経費の縮減、出張日数の縮減は行われていることが分かりました。しかし、繰り返しますが、行くからには、成果も問われます。そのバランスをしっかりと見極めた上で、出張の判断をしてもらいたいと思います。
 

 また、舛添前知事時代の最大の問題点は、海外出張の異常な頻度にあったと思います。小池知事のリオ出張は、誰の目からも必要不可欠なものであったため、まだこの点に関する評価はできませんが、今後は、出張の必要性自体も問われることとなることを申し添えておきます。
 

 私は、国際化の進展、グローバル化の進展といったことを軽んじているわけではありません。東京の国際都市としての存在感を高めていく必要性・重要性は、十分に理解しているつもりであります。2020年オリンピック・パラリンピック大会を控えた今は、なおさらであります。海外からの旅行者数も、驚くべき伸びを示しております。世界の諸都市との友好も、深めていかなければなりません。
 

 このような状況にあって、前知事は、自ら海外に行くことがグローバル化への対応だと考えていたようであります。しかし、果たしてそうでしょうか。東京の存在感を高める術は、何も知事が頻繁に海外に出向くことだけではありません。都市の友好を高める手段を一つに限定する必要は、全くありません。各国の大使館が集まる東京であれば、東京にいながら海外との友好を深めることも可能だと考えます。様々な施策を展開することで相乗効果を生み出し、費用対効果を最大化させるべきであります。

Q3
今後、海外諸都市との友好関係の構築、東京の国際都市としての存在感の向上に向け、都として、どのように取り組んでいくつもりであるのか、政策企画局長に伺います。
A3(政策企画局長答弁)
○2020年大会を控えた現在、東京に対する世界の注目は、どんどん高まっている。こうした中で、東京が真の国際都市として、持続的に発展していくことが、今後の東京にとって大きな鍵であると認識している。
○ご指摘のとおり、東京には、各国の大使館も集まり、多くの外国人が居住している。こうした方々との交流を進めることは、東京のメリットを最大限活かすことになる。また海外からの旅行者も急増する中で東京の魅力を多くの外国の方に知ってもらうことは、友好協力関係を一層、深めることにも繋がると思う。
○同時に、国家戦略特区の枠組みも活用して、外国企業の誘致や外国人が暮らしやすい環境も進めていく。災害発生時に備えた外国人への支援も重要だと考えている。
○こうした施策を総合的に推し進め、相乗効果を生み出すことで、国際都市としての東京の存在感を高めていく。
(柴崎幹男)
 海外諸都市と真の友好関係を築き、深めていくためには、多面的・多角的な視点が必要だと思います。前知事は、北京やソウルに出張した際に、「都市同士の友好が、国家同士の友好を導く」といった趣旨の発言を繰り返しておりましたが、私は、いささかスタンドプレーが過ぎるのではないかと感じておりました。
 

 国家同士の外交は、複雑な利害関係を抱えながら展開されます。東京都は、一自治体として、国の外交に影響を与えるような行動は控えるべきであります。十分な情報を持たない東京都が勝手な行動を取っては、都民・国民の利益を損なうばかりです。まさに、「生兵法は怪我のもと」であります。
 

 一方で、少子高齢化への対応や、防災をはじめとする安全安心、機能的で快適な都市空間の創出など、東京都は、向き合うべき多くの課題を抱えております。そうした中で、国際社会にどう関わっていくのか。都庁職員の皆さんには、この機会に、今一度、都民が何を期待しているのか、自らが果たすべき役割は何かを、しっかりと考えていただきたいと思います。
 

 次に、公用車の使用についてであります。舛添前知事の毎週の湯河原通いに端を発したこの問題は、危機管理の問題、政務での使用の問題、講演料を受け取る講演での使用の問題など、公私混同と指摘されるような、様々な問題を露呈いたしました。
 

 この責任は、一義的には、公用車を使用していた前知事に帰属するでしょう。前知事は、公用車の使用ルールに反していたのかというと、基本的には使用ルールの範囲内であったと主張していましたが、後の監査請求では不適切な使用とされ、前知事もそれに相当する部分は都に返還しています。
 

 しかし、ルールに反していない部分は良い、という話ではありません。毎週の湯河原通いなどは、明らかに異常です。本来、公用車は「公務の円滑、効率的な運用」のために使用されるべきものであります。公費で運用されている以上、決して、単なる便利な交通機関として使ってはなりません。ルールを外形的に捉えて、これに適合しているかどうかを判断するのではなく、制度本来の趣旨に立ち返って、考えること、運用することが重要です。都庁として、このことが疎かでなかったか、今一度振り返り、反省すべきは反省してもらいたいと思います。
 

 その上で、重要なのは、今後、公用車をどのように運用していくかということです。前知事時代に明らかになった数々の問題点、これらがきちんと解決しているのか、今後、再び起こることはないのか、ということであります。

Q4 
小池新知事は、先月、都知事に就任し、既に約2か月が経過したわけですが、この間、小池知事の公用車の使用状況はどうであるのか、前知事が問題とされたような点は解決しているのか、このことを伺います。
A4(総務部長答弁)
○小池知事は、公用車の運用に当たっては、私用車と使い分けを行うなど、厳格な運用を行なっている。
○前知事時代に都民から批判を招いた、遠隔地への頻繁な送迎や、長時間に及ぶ立ち寄りなどでの使用は行なっていない。
(柴崎幹男)
 現在は、公用車が、前知事とは異なり、都民の理解が得られるよう運用されているようです。
 

 今後においても、公用車使用の制度本来の趣旨に基づく運用が重要であります。前知事の湯河原通いではありませんが、公用車の運用には危機管理の観点というものもあります。こうしたことも踏まえ、是非、日々の厳格な運用に努めてもらいたいと思っております。
 

 さて、現在、東京都は、大きな注目を浴びております。連日、メディアに都政の話題が登場し、豊洲市場移転問題など新たな問題も浮かび上がってきております。東京都を巡る様々な事案を多くの都民・国民に共有いただき、理解と協力を得ながら、都政を前に進めること、このことは、大変、重要なことだと思っております。しかし、同時に、こうしたときこそ、我々を含め、都政に関わる全ての者が、あるべき原理原則に立ち返り、長期的な視点を持ち、本当に都民のためになることは何かを、徹底して考えていかなければなりません。
 

 私は、今回、海外出張や公用車使用の問題を通じ、根本に立ち返った都政運営ということで、都の考えを伺ってまいりました。変化の激しい現代においては、様々な判断が、得てして近視眼的なもの、目先にこだわったものに流れがちであります。しかしそれでは、将来に新たな混乱を巻き起こし、都政に対する都民の信頼も、さらに揺らぐことになります。思えば、舛添前知事の行動には、どこか人気取りを狙った雰囲気が感じられることも少なくありませんでした。こうした空気は、東京都から一掃しなければなりません。
 

 小池新都政の目指すべきもの、市場問題などの新たな課題については、明日の知事の所信表明を踏まえ、本会議で議論していくこととなります。しかし、舛添前知事の問題を経た今、都庁職員の皆さんには、執行機関として、何が本筋かをしっかりと意識した、骨の太い行政運営をお願いしたいと思います。こうしたことの積み重ねが、都民の真の信頼に繋がっていくと確信しております。
 

 本会議では、本質を踏まえた、建設的で質の高い議論を行っていくことを最後に申し述べ、私からの質問を終わります。

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