地元産業振興に向けて、財政委員会で質問に立つ!
2015-07-01

今定例会には、提出議案として11件の工事請負契約案件が提案されている。
はじめに、工事契約に関連して、いくつか確認させていただく。
今定例会における、桜井副委員長の一般質問の質疑でも触れられていたように、都の工事の発注においては、分離分割発注方式が大原則であると認識している。
定例会の議案である11件の工事案件も、それぞれ建設工事、設備工事、土木工事と業種が分けられている。
ところが、一昨年の第四回定例会のわが党の代表質問に対する答弁で、都はオリンピック・パラリンピックの施設整備において、「設計・施工一括発注方式」いわゆる「デザインビルド方式」を検討することを明らかにした。そして昨年の6月に取扱いを公表するとともに、現在一部の競技施設において制度を適用すると聞いている。
Q1 そこで、まず、分離分割発注方式とデザインビルド方式の違いについて伺う
- A1(契約調整担当部長答弁)
- 都の工事発注の原則は、分離分割発注方式。
- 都の実施するデザインビルド方式は、オリンピック・パラリンピックの競技施設の一部に適用するもので、先行して発注した基本設計が完了した後、事業全体の実施設計と各業種の工事を一括で発注する。
- このため入札参加者は、異業種JVを結成して受注に挑むことになる。
- (柴崎幹男)
- 工事の発注は、分離分割が原則であることを、今改めて確認できた。こうしたことからデザインビルド方式は、設計と各業種の施工を一括で発注する工事であり、分離分割の原則に反しているように見えるわけです。
- 昨年の6月に都の「デザインビルド方式の取扱い」が公表されたことで、一部の関係者からは、これを機に、都が工事の発注をデザインビルド方式に切り替えるのではないか、と心配する声があがった。この後多くの事業者団体などと意見交換が行われてきたと聞いている。
Q2 そこで、都がデザインビルド方式による発注を検討するにあたり、事業者団体などとどのように意見交換や競技を行ったか説明を求める。
- A2(契約調整担当部長答弁)
- デザインビルド方式に対する理解が不可欠であるとの考え方にもとづき、関係する団体ごとに、適用する工事の要件、リスク分担のあり方、設計の独立性・一貫性の確保、異業種JVの構成、受発注者及び基本設計者間での役割分担、発注者責任のあり方など、広範なテーマに関して意見交換を実施し、協議を重ねた。
- (柴崎幹男)
- 今の説明で、各方面と手順を踏んだ丁寧な意見交換が行われたことがわかりました。制度に対する理解が進んだということだと思うが、今後も事業者から質問等があれば十分な対応をお願いします。
Q3 それでは、デザインビルド方式について、実際にどのような工事に適用するのか、適用する要件と対象施設、この2点について伺う。
- A3(契約調整担当部長答弁)
- 「有明アリーナ」、「オリンピックアクアティクスセンター」、「海の森水上競技上」の3つの競技施設である。
- (柴崎幹男)
- 都がデザインビルド方式で発注する競技施設は、3施設であることが確認できた。
今回、デザインビルド方式を行うことにより、設計と施工の効率化が図られるとのことである。しかし、施設設計終了後の発注ではないため、発注時に最終的な仕様、ですとか、機能などを確定することが難しいと思われる。
また、事業の実施について受注者に委ねる領域が大きくなってしまう。発注者による状況把握及び意思決定がより重要になる。
Q4 これらの、課題も考えられる中、デザインビルド方式の品質確保に対する都の対応を伺う。
- A4(契約調整担当部長答弁)
- とのデザインビルド方式は、大会に向けて確実に整備すべき、特殊で限定的な工事に適用するものであり、大前提として、都の技術力で全ての過程をマネジメントすることにより、工事の品質を確保できる必要がある。
- デザインビルド方式での施工に当たっても、一連の制度改革の上に立ち、計画段階から履行完了に至るまで、発注者の責務を果たしていく。
- (柴崎幹男)
- 答弁にもあったように、確実に整備すべき、特殊な施設に対する発注ということで、デザインビルド方式を円滑に実施することが求められる。
都の技術力、組織力を結集し、品質を確保することを要望いたします。
つぎに、工事契約に関連した中小企業対策について伺う。
オリンピック・パラリンピック開催に伴う施設の整備が本格的に始まる一方で、これまで同様、都民生活に密着した社会資本の整備や維持管理も着実に進めていかなければならない。
都は、一般質問への答弁において、分離分割発注の意義として、中小企業の発注機会の確保をあげていた。現在、地域における防災・減災・コミュニティーの維持などの重要性がましている中で、身近な社会資本の維持管理を支え、同時に地元の雇用も担っているのが中小企業である。
すでに各方面でも言われるように、このような中小企業の中には、幅広く高い技術を継承している事業者も数多く存在している。
しかし、まさに都の事業の根幹を支える立場である、これら中小企業では、現場の担い手である技術者の不足や高齢化が進んでいる。都民の安全・安心を確保するとともに活気ある地域生活に支障が生じてしまう恐れが出ている。
Q5 そこで、地域における中長期的な担い手確保の観点から、より地元に貢献してる中小企業を評価する取組みが必要と考えるが、所見を伺う。
- A5(契約調整担当部長答弁)
- 災害や事故への緊急対応による地元貢献や、災害発生に備えた準備体制などにより、将来にわたり地域の期待に答えようとしている事業者も増えている。
これらの中小企業を積極的に評価する方法として、地域精通度という考え方を従来から取り入れているが、今般の改正品確法施行を踏まえ、中小規模の工事を対象とする総合評価方式に、この評価項目を新たに加え、7月1日以降公告を行う案件から適用していく。
- (柴崎幹男)
- 総合評価方式は、価格と価格以外の要素とを総合的に評価する契約方式である。工事においては、企業の技術力や信頼性・社会性などを評価していると思う。
◯今回、中小規模の工事を対象とした総合評価において、地域精通度の評価項目が加われば、地域のインフラ整備や維持補修を担う地元の中小企業にとりましては、大きなプラス効果をもたらすと期待できる。
Q6 そこで、地域精通度を具体的にどのように評価に反映させるのか伺う。
- A6(契約調整担当部長答弁)
- 具体的には、過去3年間に完了した都の工事で、当該工事施工場所及び隣接する区市町村において、一定以上の成績を有する場合、実績として技術点を加点する。
この取組みを通して、地域インフラの品質と中長期的な担い手の確保を図っていく。
- (柴崎幹男)
- 本年4月に本格施行された、いわゆる改正品確法では、「地域における公共工事の担い手の育成及び確保について、配慮がなされることにより、将来にわたり確保されなければならない」という理念が加えられたように、地域の担い手の育成・確保は極めて重用な課題となっている。
今回の取組みは、この改正品確法の新たな理論にかなっていると考えられる。
工事における総合評価方式は、単に価格だけで競争する入札ではない。つまり事業者の持つ技術力や、これまで行った工事の実績、担当技術者の経験なども評価して、発注者にとって最も有利なものを決定することができる。
加えて、発注者が公共調達を通じて政策を実現するという考え方を反映し、地域の安全対策や担い手の確保、障害者雇用などの「社会性」というものを評価する働きも広がっている。
これらの動向を踏まえ、都は、工事における総合評価方式を積極的に推進し、工事の品質を確保するとともに、企業の社会的役割への取組意欲を高めて欲しいと思う。
Q7 このように総合評価方式の役割が重要さを増す中、都では総合評価方式を適用した工事がどのくらいあるのか、近年における実施率を伺う。
- A7(契約調整担当部長答弁)
- 対象工事に対する実施率は、これまで一貫して増加し、平成25年度には19.0%となったが、平成26年度には15.9%に下落した。
本年4月以降、不調対策など一連の制度改革の多くが開始され、中小規模の工事向けに地域精通度の評価を加えたことも受け、今度総合評価方式を更に推進するため、全庁に対して積極的な適用に関する通知文を出すとともに、改めて内容の周知を促した。
今後とも都は、公共工事の品質をより確保するため、総合評価方式の適用を推進していく。
- (柴崎幹男)
- 都は、まず入札不調などの対策も大変だと思うが、総合評価方式をはじめとした品質確保のための取組も着実に進めていただきたい。ということとと、また、入札に参加しやすい環境の整備に向けて、一連の制度改革の成果をしっかりと活用し、発注者の責務を果たしていただく。これら2点を強く要望して次の質問に移る。